Tibetan Rugs
チベタンラグ
tibetan rugs
チベットはヒマラヤ山脈の北側に位置し、世界の屋根と呼ばれるチョモランマ(エベレスト)や、水平線が見えるほど大きいナムツォ湖などチベット特有の景色が広がっています。チベット絨毯の歴史は古く、7世紀頃にはすでに中央アジアより織りの技術が伝わっていたと推定されます。
さまざまな地域で作られている手織りの絨毯ですが、チベットでの用途は身体をあずける場所を作るための「暮らしの道具」。基本のサイズは「カデン」と呼ばれ、腰掛けの台に敷かれて敷布団やソファの代わりとして使われる、丁度たたみ一畳(約80×150〜90×180cm)くらいの、人の身体のサイズから生まれた絨毯です。他には「タデン」と呼ばれる馬の鞍掛けや、僧侶用の座布団として使われる「カガマ」、柱の装飾用の「カトウン」など、敷物の垣根を超えた使われ方もしていました。多様な用途で使う必要があったため、中央アジアから伝わった技法が長年の間に変化して、「チベット結び」という地域独自の技法が生まれたと考えられます。
the history
絨毯は、古くから交易商品として東西を行き来していましたが、シルクロードから外れていたチベットの絨毯は交易商品にはならず、実用性が重視されたチベットの暮らしに役立つ道具として独自の変化を重ねてきました。しかし、現在のチベットは、20世紀後半に生活環境が一変し、以前の絨毯作りはすっかり姿を消してしまいました。1970年代からインド北部ダラムサラ周辺やネパールのボードナート等で、欧米向けの大きなサイズの絨毯が作られるようになったことで、需要地の好みに合うラグに変わり始め、技法もそれに合わせ変化しました。
小さなラグを作るに適した伝統技法の「チベット結び」は、ほとんど使われず、大きなラグを作りやすい新しい「チベット結び」の普及が始まりました。また、文様も欧米から依頼されたモダンなデザインが大半を占めるようになりました。チベット絨毯も他の地域と同様に時代の流れとともに変化しています。 「生活の愛情から生まれたものは生命力があり、どんな時代にあっても人を惹きつける魅力があります」。本来のチベット絨毯の要素が、私たちの求める「暮らしの道具」であったので、織りの学習・作り手との交流を積み重ねながら、ノルブ独自のエッセンスを加えたラグ作りを行っています。